不動産登記とは、所有権の移転とは、所有権を移転する場合に必要な手続き・書類・諸経費にはどのようなものがあるのかについてお伝えします。
この記事を読むことで不動産の登記や所有権の移転に関する疑問の解消にお役立てください。
目次
不動産の登記と所有権について
不動産を自身の資産・所有物であると対外的に権利を主張するためには対象となる不動産について登記をする必要があります。
不動産の登記について、所有権の移転についてそれぞれお伝えしていきます。
不動産と登記の関係性
登記とは、権利関係などを公に明らかにするために設けられた制度のことでさまざまな種類があります。
入手した土地や建物が誰の物であるかをはっきりさせるのが不動産登記です。
不動産登記を行うと法務局が管理する公の帳簿に不動産に関する情報が記載されます。
記載される内容は以下の通りです。
● どこにある、どのような不動産(土地・建物など)なのか
● 所有者について
● どういった金融機関から、どの程度金銭を借りているのか
など
所有権の移転とは
所有権とは法律の範囲内であれば所有物に対する使用、収益・処分をすることができる権利のことです。
所有権移転登記は対象となる不動産の持ち主が誰なのか、所有権を保有しているのは誰なのかを公的に証明するために非常に重要な手続きです。
所有権が移転されたことに安心して登記をせずに放置をしておいた場合、第三者が所有権を主張してくるといったトラブルが発生する可能性があります。
こういった不要なトラブルを回避するためにも迅速・正確に登記は行う必要があるため注意が必要です。
所有権の移転にともなう登記で必要な書類とは
所有権の移転のためには登記が必要になります。
所有権が移転するタイミングは大きく分けて「売買」「相続」の2種類です。
それぞれの場合に分けて必要な書類についてお伝えします。
売買時に必要な書類とは
売買には買主と売主が存在し、それぞれで必要な書類が異なります。
書類を含む売買時に売主側で必要なものは以下になります。
● 実印
● 印鑑証明(3か月以内のもの)
● 収入印紙
● 本人確認書類
● 登記済証(権利証)または登記識別情報通知
● 仲介手数料の半金
● 固定資産税納税通知書
それぞれについて説明をしていきます。
実印
契約書に押印が必要なため実印は必須です。
対象の不動産が共有名義の場合、夫婦それぞれで必要になるため注意しましょう。
印鑑証明
本人であることを証明するために必要になります。
一般的に印鑑証明の有効期限は3か月とされているので有効なものを用意しておきましょう。
収入印紙
売買代金により印紙代は異なります。
売買代金 | 印紙代 |
500万円超~1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 10,000円 |
5,000万円超~1億円以下 | 30,000円 |
1億円超~ | 60,000円 |
本人確認書類
本人であることがわかる顔写真付きの公的証明書が必要です。
個人の場合:運転免許証やパスポートなど
法人の場合:登記事項証明書、印鑑証明書など
登記済証(権利証)または登記識別情報通知
不動産を購入したときに発行された登記済証(権利証)または登記識別情報通知が必要です。
仲介手数料の半金
不動産売買では多くの場合仲介会社を利用し、報酬として仲介手数料を支払う必要があります。
仲介手数料は一般的に契約時と残代金決済時の2回に分けて支払います。
売主側の上限手数料 | 売買価格(税抜き) |
18万円 | 200万円以下 |
200万円超~400万円以下 | |
売却価格×3%+6万円 | 400万円超 |
固定資産税納税通知書
固定資産税納税通知書とは、税金の支払い義務がある人に対し税金の算定の基準となる不動産の評価額や納付すべき税額などを通知する書面です。
固定資産税の納税額の確認のために必要になる書類ですが、仲介を依頼する不動産会社によって必要の有無が分かれるので確認するようにしましょう。
相続時に必要な書類とは
両親が亡くなった場合などに不動産を引き継ぐ場合があります。
不動産を引き継ぐ側を「相続人」、引き渡す側を「被相続人」と言います。
「相続人」側で必要な書類等は以下の通りです。
● 法定相続人全員の戸籍謄本
● 遺産分割協議書
● 法定相続人全員の印鑑証明書
● 相続財産をもらい受ける相続人の住民票の写し
● 相続する不動産の固定資産評価証明書
● 相続する物件の登記事項証明書
それぞれについて説明をしていきます。
法定相続人全員の戸籍謄本
相続人であり、現在も生存していることを証明するために必要となります。
遺産分割協議書
法定相続割合以外の分割割合で分割を行う場合に必要となります。
法定相続人全員の印鑑証明書
遺産分割協議書が必要な場合に添付する書類です。
相続財産をもらい受ける相続人の住民票の写し
登記簿謄本に不動産の所有者として記載される者の住所を特定するために必要となります。
相続する不動産の固定資産評価証明書
相続登記時に発生する登録免許税を計算するために必要になります。最新の年度のものを用意するようにしましょう。
相続する物件の登記事項証明書
相続登記申請の前に不動産を特定し、被相続人名義の不動産かどうかを確認するために必要となります。
「被相続人側」で必要な書類は以下の通りです。
● 出生時から死亡時に至るまでの戸籍謄本等
● 住民票の除票の写しor戸籍の附票の除票
出生時から死亡時に至るまでの戸籍謄本等
相続人が誰なのかを確定するために必要な書類です。
被相続人の場合は生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本を集める必要性があるため注意しましょう。
住民票の写しor戸籍の附票の除票
被相続人を住所と氏名と本籍地で特定をするために必要な書類です。
所有権移転登記にともなう諸経費や費用について
売買・相続どちらの場合でも所有権を移転した場合には手続きとして登記が必要です。
登記をすると「登録免許税」を納める必要があり、司法書士などの専門家を利用した場合は報酬なども支払う必要があります。
登録免許税
登録免許税とは、登記を行うものが国に納める税金のことです。
税金額は以下の計算式で求められます。
登録免許税額=不動産の固定資産税評価額×税率
専門家へ支払う費用
不動産登記に関係する専門家には、土地家屋調査士や司法書士がいます。
土地家屋調査士へ支払う報酬
土地家屋調査士へ支払う報酬(費用)には以下のようなものがあります。
● 建物の表題登記
● 土地表題登記
建物の表題登記の報酬の相場は8万円〜12万円。
土地表題登記の報酬の相場は7万円〜になります。
司法書士へ支払う報酬
司法書士へ支払う報酬(費用)には以下のようなものがあります。
● 所有権移転登記(売買・相続)
● 所有権保存登記
● 抵当権設定登記
所有権移転登記は売買時と相続時で報酬(費用)の相場が異なります。
売買時の相場は2万円〜8万円で、相続時の相場は3万円〜10万円です。
所有権保存登記の報酬(費用)の相場は、1万円〜5万円。
抵当権設定登記の報酬(費用)の相場は、2万円〜5万円です。
所有権の移転と登記について
不動産登記とはどのようなものなのか。
所有権とは、所有権の移転とはについてお話ししました。
不動産の所有権が移転するのは大きく分けて「売買」「相続」の2つです。
それぞれの場合において必要となる書類などが大きく異なってきます。
特に相続の場合は必要となる書類が煩雑なため、万が一の場合に備えて早い段階で用意をしておくようにしましょう。
知識を身につけ、万が一の場合に備えて必要な書類等事前に用意ができるものはしておくことで不要なトラブルを防ぐことにもつながります。
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