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事故物件は相続放棄するべき? 相続・相続放棄に適したケースや相続放棄の注意点をご紹介
相続する財産の中に事故物件があった場合、その扱いに悩んでしまう方も多いはずです。事故物件は相続するべきなのでしょうか、それとも相続放棄を選ぶべきなのでしょうか。
本記事では事故物件を相続するかお悩みの方のために、事故物件の概要や事故物件の相続・相続放棄に適したケース、相続放棄をする場合の注意点などをご紹介します。一般的な不動産とは異なり、事故物件は買い手や借り手を見つけるのが難しいです。事故物件の扱いにお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
そもそも事故物件とは?
法律による明確な定義はありませんが、事故物件は自殺・殺人・事故などで過去に人が亡くなったなど、買い主や借り主に心理的瑕疵(かし)が生じる物件のことを指します。瑕疵とは、不動産の売買契約をする土地や建物に何らか欠点があることを指し、心理的瑕疵以外にも物理的瑕疵・法律的瑕疵・環境的瑕疵があります。
具体的にどのような物件を心理的瑕疵がある事故物件とするのか見ていきましょう。
事件・事故などで人が亡くなった物件
一般的に心理的瑕疵がある物件とは、過去に敷地内外で自然死・不慮の事故死以外の原因によって人が亡くなった物件のことです。国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によると、以下のようなケースが事故物件に該当するとされます(※)。
- 自殺
- 他殺
- その他原因が分からない死
同じ事故物件に該当するケースでも、人が亡くなった要因・状況によって、心理的瑕疵の度合いは変わってきます。例えば、孤独死よりも殺人事件があった物件の方が心理的瑕疵の度合いは大きくなり、不動産の価値にも影響を及ぼす可能性があります
※参考:国土交通省. 「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」. P7~9. https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001426603.pdf , (参照 2024-02-23).
特殊清掃が行われた物件
特殊清掃が行われた物件は、事故物件に該当します。
基本的に自然死や不慮の事故死はいつでも起こり得るため、事故物件には該当しません。しかし「長期にわたって放置された自然死や不慮の事故死」があった物件は、事故物件と見なされることが多いです。この「長期にわたって放置された」状態かどうかを決める要素の一つに、特殊清掃が行われたかどうかがあります。
特殊清掃は通常の清掃では落ちない臭いや汚れを落とし、消毒などを行う清掃のことです。特殊清掃を行わなければならないような状態になってしまった物件は心理的瑕疵があると見なされるため、自然死や不慮の事故死であっても事故物件に該当します。
事故物件には告知義務がある
相続対象になっている物件に事故物件がある方の中には、「ただ売りに出せば良い」「賃貸として貸し出そう」と考えている方もいるかもしれません。しかし心理的瑕疵のある事故物件には告知義務があり、売却する場合でも賃貸に出す場合でも事故があった旨を告知しなければなりません。
この告知義務を負わずに売却したり貸し出したりして、後々買い主や借り主が事故物件であることを知った場合、契約解除や損害賠償請求の事由となってしまいます。「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によると、賃貸の場合は心理的瑕疵に該当する死が発覚してから約3年程度経過すれば告知義務はなくなるとされていますが、売却の場合は告知義務の時効はありません(※)。賃貸の場合も、入居希望者から心理的瑕疵についての質問があった場合や、過去に凄惨な殺人事件が起こり、社会へ与えた影響が大きかった場合などは、時効に関係なく告知義務が発生します。
また「更地にしてから売却しよう」と考える方もいるかもしれませんが、更地にした場合でも告知義務は発生します。立地など条件が良ければ更地にすることで買い手が付きやすくなる可能性はありますが、事故物件である以上、そうでない物件に比べると売れにくいことは理解しておかなければなりません。
事故物件を相続するか、それとも相続放棄するかを迷っている方は、告知義務を課されていることを考慮に入れて検討する必要があります。
※参考:国土交通省. 「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」 .P6. https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001426603.pdf , (参照 2024-02-23).
事故物件の相続・相続放棄に適したケース
ここからは相続に適したケースと、相続放棄に適したケースをそれぞれご紹介します。
相続に適したケース
まずは相続に適したケースからご紹介します。
心理的瑕疵が比較的低い物件である
心理的瑕疵が比較的低いと思われる物件であれば、相続に適している可能性があります。
前述したとおり、孤独死や不慮の事故死であっても、特殊清掃が行われた場合は心理的瑕疵があると見なされ事故物件になりますが、自殺や他殺と比較すれば強い心理的瑕疵を感じる方はそこまで多くはないでしょう。心理的瑕疵は人それぞれの主観によるところもありますが、事故物件になった要因がそれほどセンセーショナルな内容ではなく、好条件な物件なのであれば、相続を検討してみてください。
立地などの条件が良い
事故物件であっても、立地などの条件が良い場合は、相続を検討してみると良いでしょう。需要が高いエリアにある物件や周辺環境が良い物件の場合は、それほど心理的瑕疵の度合いが高くない物件であれば、買い手や借り手が付く可能性があります。
また立地や周辺環境が良く需要が高い土地であれば、駐車場やトランクルームなど住宅以外の方法で活用できるかもしれません。ただし、土地活用のために解体費用がかかってくるので、それを踏まえて検討することをおすすめします。
相続財産の負債よりも資産が多い
相続財産の負債よりも資産が多い場合は、相続を検討してみると良いでしょう。資産価値がある遺産が負債よりも多い場合、相続放棄することで損してしまう可能性が高いです。
また相続を放棄する際は、特定の遺産を指定することができません。そのため事故物件の相続を放棄する場合は、その他の全ての遺産の相続権も放棄することになります。もし相続放棄後に故人の財産が見つかったとしても、遺産を受け取ることはできません。
相続するか放棄するかで迷っている段階で、資産が多いのか負債が多いのか判断できない場合は、相続時点で把握できていない負債が判明しても、プラスになった資産の範囲内での負債相続に限定できる「限定承認」という方法もあります。手続き完了までに長期間を要すること、相続人全員の同意が必要なことなどデメリットもある方法ですが、見極めが難しい場合は限定承認も検討してみると良いでしょう。
物件への思い入れがある
事故物件となった物件が長年暮らした実家である場合など、物件への思い入れがあるケースもあるでしょう。一度相続放棄するとそれを取り消すことはできないので、慎重に検討する必要があります。
ただし事故物件となった要因や、自身の現状によっては相続しないという選択をするのも一つの方法です。自身が居住するのが難しい場合、賃貸として貸し出す方法もありますが、前述したとおり、事故物件は告知義務があり、そうでない物件と比べると借り手が付きにくい傾向にあります。思い入れがあり、「残したい」という気持ちが強い場合でも、将来的なことを考慮に入れて検討するようにしましょう。
相続放棄に適したケース
続いて、相続放棄に適したケースをご紹介します。
凄惨な殺人事件などがあった物件である
凄惨な殺人事件など、人の記憶に強く残る事件があった事故物件の場合、相続放棄を検討した方が良いかもしれません。
前述したとおり、事故物件であってもそれほど心理的瑕疵が大きくない物件であれば、条件次第で売却したり貸し出したりできる可能性はあります。しかし、凄惨な殺人事件など大々的に全国ニュースで報道された事件の現場となった場合、心理的瑕疵が大きく、なかなか買い手や借り手が付かない可能性が高いです。
ただしこの場合も、相続放棄するとその他の遺産に関する相続権も放棄することになるので、相続する遺産全体を踏まえた上で検討することをおすすめします。
相続財産の資産よりも負債が多い
相続財産の資産よりも負債が多い場合は、相続放棄を検討した方が良いでしょう。
資産よりも負債が多い状態で遺産相続すると、借金の返済など負債に対応しなければなりません。さらに買い手・借り手の付きにくい事故物件では資産価値が低く、負債をまかなえない可能性もあります。まず資産と負債を洗い出して、プラスになるかどうかを確認しましょう。
手元の資金で相続税が払えない
手元の資金だけで相続税が払えない場合も、相続放棄を検討することをおすすめします。
手元の資金だけで相続税が払えない場合、不動産を売却するなどして相続税を納めなければなりません。しかし前述したとおり事故物件は買い手が付きにくいので、売却がスムーズにいかず、相続税のための資金を確保できない可能性があります。
相続の話し合いをしたくない
相続の話し合いをしたくない場合は、相続放棄を検討すると良いでしょう。
元々相続人が一人の場合や、遺言に遺産の受取人が明示されている場合を除き、相続するためには相続人全員で遺産分割協議を行わなければなりません。この話し合いに参加することを面倒に感じる場合は、相続放棄をするのも一つの方法です。
事故物件の相続を放棄する場合の注意点
事故物件の相続を放棄する場合は、いくつか注意しなければならない点があります。5つの注意点を見ていきましょう。
相続財産の処分・隠匿・消費をすると相続放棄できない
相続財産を処分・隠匿・消費すると、相続放棄をできなくなったり、相続放棄をしても無効化されたりするリスクがあります。
相続放棄をする場合、どのような形であっても財産を処分してはいけません。衣類や日用品など資産的価値がないと見なされるものの処分は影響がないことが多いですが、資産価値があるものを処分すると相続する意思があると見なされて相続放棄が受理されません。
また相続放棄後に相続財産を隠匿したり消費したりした場合も、相続する意思があると判断されてしまうため、相続放棄が無効になります。
ただし葬儀費用や墓石の購入費用など、一部の目的を対象として財産を処分・消費することは認められているので、専門家に相談するようにしてください。
期限内に申し立ての必要がある
相続放棄は期限内に家庭裁判所へ申し立てを行わなければなりません。
相続放棄の申し立て期限は、相続の開始があったことを知った時点から3カ月以内です(※)。この期間は「熟慮期間」と呼ばれます。基本的に被相続人の死亡を知った時点が相続の開始があったことを知った時点になりますが、自身より相続順位が高い方が相続放棄をした場合は「相続放棄について知った時点」が相続の開始があったことを知った時点と見なされます。
※参考:裁判所. 「相続の承認又は放棄の期間の伸長」. https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_25/index.html , (参照 2024-03-04).
相続放棄ができるのは相続開始後
相続放棄の手続きが可能になるのは、被相続人が亡くなって相続が開始した後からです。
被相続人の死亡前に相続放棄を決めていたとしても、被相続人が生きている間は相続放棄はできません。また亡くなられる前の会話で相続放棄を口約束していたとしても、被相続人の死亡後に相続放棄の申し立てを行う必要があります。
相続放棄するには手間がかかる
相続放棄するためには、以下のような手間がかかります。
- 法定相続人の確定
- 物件調査
- 相続放棄の協議・判断
- 相続放棄の申し立て
- 相続放棄照会書への回答(相続放棄回答書の返送)
相続人との話し合いや書類の収集、申述書の作成などさまざまなことを行わなければなりません。自身で相続放棄することもできますが、専門家に依頼するのも一つの方法です。ただし専門家に依頼するには費用が発生します。
相続財産管理人を選任するまで管理責任は残る
相続放棄をしたとしても、相続財産管理人を選任するまでは管理責任が残ります。
基本的には相続放棄すると、相続順位が低い方に相続する権利が移りますが、全員が相続を放棄すると物件管理を依頼するために、相続財産管理人を見つけなければなりません。
この相続財産管理人が見つかるまでの期間は、相続放棄後でも物件の管理責任が残ります。相続財産管理人の選任は義務ではありませんが、選任しない場合財産の管理責任は継続します。維持するためには費用がかかる上、空き家にしてしまって倒壊や火災などが起きた場合、責任を負わなくてはなりません。
事故物件を相続して専門業者に売却を任せるのも一つの方法
相続財産に事故物件がある場合、相続放棄するのも一つの方法です。しかし相続放棄にはさまざまな注意点があり、手間もかかる上、相続放棄しても相続財産管理人が見つかるまでは管理責任が残り、コストも発生する可能性があります。
手間やコストをかけずに事故物件を処分するなら、相続して売却するのも一つの方法です。ご紹介したとおり、事故物件は買い手が付きにくい傾向にありますが、事故物件を専門で扱っている業者ならスムーズな売却が目指せる可能性もあります。事故物件を相続するか相続放棄するか迷っている方は、相続して専門業者に任せることも検討してみると良いでしょう。
事故物件の扱いにお悩みの方はハッピープランニングにお任せください
本記事では事故物件を相続するかお悩みの方のために、事故物件の概要や事故物件の相続・相続放棄に適したケース、相続放棄をする場合の注意点などをご紹介しました。事故物件の相続は、一般的な不動産の相続以上に懸念事項が多いです。できるだけ早く手放したいなら、相続して売却する方法も検討してみると良いでしょう。
ハッピープランニングは相談実績3,000件以上の、事故物件・訳あり物件専門買取業者です。直接買取のため手数料がかからず、売却後に売り主に責任は発生しません。多くの事故物件を扱ってきた専門家が対応するので、まずはお気軽にご相談ください。