中古マンションの耐震基準適合証明書とは?メリットや発行手順を解説

不動産知識

中古マンションを購入する際はさまざまな書類が必要となりますが、時に「耐震基準適合証明書」の提出が求められることがあります。
主に住宅ローン控除の申請に必要となるメリットの多い証明書ですが、取得のためには手続きを行わなければなりません。

この記事では、耐震基準適合証明書とは何か、対象となる建物(中古マンションは対象となるか)、耐震基準適合証明書のメリット、発行までの流れや注意点について解説しますので、購入を検討される方はぜひ参考にしてください。

耐震基準適合証明書とは?

耐震基準適合証明書は文字通り耐震性を証明する上で重要な書類ですが、マンション購入の際に必ずしも必要とは限りません。
耐震基準適合証明書とは、建築基準法で定められた耐震基準を満たしていることを証明する書類です。

そのため、発行の前に耐震診断を行い、基準に適合していることを確認しなければなりません。

使用用途は?

耐震基準適合証明書の主な使用用途は、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)やローン減税などの減税制度利用です。
多くの減税制度は、古い建物の場合の要件として「耐震性があること」を挙げています。

中でも節税効果が大きいとされるのが、住宅ローン控除です。
住宅ローン控除は、住宅ローンを利用してマンション等を購入する人が、一定の要件を満たしていれば所得税等の控除を受けられる制度です。
場合によっては数百万円単位が減税されるため、利用しない手はありません。

対象となる建物は?

これまで、築25年以上のマンション・耐火建築物で住宅ローン控除を受けるには、耐震基準適合証明書や既存住宅性能評価書などが必要でした。

しかし、2022年(令和4年)の税制改正により、住宅ローン控除の要件が大きく変更となりました。
1982年(昭和57年)1月1日以降に建築された建物であれば、耐震基準適合証明書等がなくとも住宅ローン控除が受けられるようになったのです。

つまり、耐震基準適合証明書が必要となる建物は、1981年(昭和56年)以前に建築された住宅ということです。
もちろん、新築マンションには耐震基準適合証明書は必要ありません。

耐震基準適合証明書のメリットとは?

中古マンションを購入する上で、耐震基準適合証明書を取得することは非常にメリットが大きいです。
先述した住宅ローン控除以外にも、税金面での優遇措置を受けられる可能性があるため、ぜひ確認しておきましょう。

登録免許税の減税

中古マンションを購入する際、売主から買主へ所有権の移転登記が行われます。
法務局で申請する時、買主(新所有者)は登録免許税を支払わなければなりません。
マンションにおける税率は本則では2.0%ですが、耐震基準適合証明書があることで0.3%の軽減税率が適用されます。

不動産取得税の減税

マンションを購入すると、各都道府県から不動産取得税が課されます。
耐震基準適合証明書があれば軽減制度が受けられるため、活用するに越したことはありません。
床面積50㎡以上240㎡以下であることなど要件がありますが、1982年(昭和57年)1月1日以降に新築されたものは証明書不要です。

※参考文献:東京都主税局

地震保険料の割引や贈与税の非課税

地震保険には、建物の耐震性能に応じた保険料の割引制度があります。

通常、1981年(昭和56年)6月1日以降に新築された住宅の場合に10%割引が適用されますが、耐震基準を満たす住宅であれば古いマンションでも保険料の割引対象になることがあります。
そのために必要なのが、耐震基準適合証明書です。

また、住宅を購入する際に親族等から資金援助を受けた場合、贈与税が課せられます。
贈与税に関しても、耐震基準適合証明書により非課税になることがあります。

耐震基準適合証明書の発行までの流れや注意点

税制改正により、現在、耐震基準適合証明書は買主でも売主でも申請者になることができます。
証明書の発行には約1ヵ月の期間がかかり、耐震診断に10万円前後の、発行に5万円前後の費用がかかることを覚えておきましょう。

証明書の発行は、建築士事務所に所属する建築士により可能です。

発行までの一般的な流れ

耐震基準適合証明書が発行されるまでの一般的な流れは、以下の通りです。

1.建築士に相談および調査依頼をする
2.売主から耐力壁の位置が記載された設計図を取得する
3.設計図を基に診断業者に耐震診断の相談をする
4.耐震診断可能であれば、日程を調整し現地調査および耐震診断を実施
5.耐震診断の報告書を受け取り、適合する場合は建築士が耐震基準適合証明書を発行する

申請にあたり必要な書類は以下の5点です。
・耐震基準適合証明書仮申請書
・検査登記事項証明書写し(または建物登記事項証明書の写し)
・台帳記載事項証明書(または検査済証の写し)
・物件状況報告書
・物件の間取り図

なお、耐震診断で不適合という結果になった場合、耐震補強工事を行うことで耐震基準の要件を満たせる可能性があります。
証明書を発行するためには、補強工事の実施も視野に入れる必要があるでしょう。

耐震基準適合証明書における注意点

1981年(昭和56年)以前に建築された住宅は、そもそも耐震基準適合証明書の取得で必要となる耐震基準に適合しない可能性が高いです。
ですから、ほとんどの場合が耐震補強工事の実施が必要になり、そのための費用が数百万円かかります。

耐震補強工事を引き渡し後に実施する場合でも、耐震基準適合証明書を発行することが可能なケースもあります。
引き渡し後に証明書を取得することはできませんので、耐震診断は引き渡し前に行うようにしましょう。

住宅ローン控除を受けたい場合、照明書を取得した後に申請が必要です。
入居した翌年の確定申告で必要書類を揃え、税務署に申請することを忘れないでください。(会社員の場合は会社側が年末調整をしてくれるので不要です)。

まとめ

耐震基準適合証明書で住宅ローン控除等のメリットが得られることを。不動産業者が知らないケースも少なくありません。

知識や経験のある業者であれば、買主への説明があるはずです。中古マンションを購入する際は、減税制度も含めて任せられる業者を探しましょう。
耐震基準適合証明書の取得でお困りの際は、当社までご相談ください。

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